「あるいは」に纏わる書付

2009年9月25日

自分の備忘のために書き付けておきます。

漢文では「或人曰」という形がよく出てきます。これは省略され「或曰」と書かれることも多いのですが、訓読の際は「ヒト」を補い「アルヒトイハク」と読むのが通例です。その際に、「ヒト」ではなく「イハ」を補って読むこともあります。意味は同じです。この慣習から「あるいは」という語が発生しました。意味は「ある人は、ある時は」となります。

「または」という意味もありますが、これは平安時代にこの意味の「あるは」という言葉があり、これと混同して使われるようになったそうです。それから、「もしかしたら、ひょっとすると」のように副詞としても使われるようになりますが、その経緯は僕の勉強不足で不明です。

古文では「あるいは」を「あるひは」と書き表していることも多いそうです。もとは「ある」+「い」+「は」という形でしたが、次第に「い」の原義が忘れ去られ「あるひは」と書き倣わされるようになったそうです。やや専門的ですが、この「い」は副助詞で、体言についてそれを強調する語で上代文献にはしばしば見受けられますが、中古に入ると訓点資料にのみ見られるだけでこの「あるいは」のような語に化石的に残り、その実質的な意味は消滅してしまったそうです。いずれにしても現代仮名遣いでは「あるいは」ですね。