恋に落ちると

『トニオクレーゲル』の一節です。ずばり自分のことを言い当てられたように感じました。恋に落ちた人の心の状態がよく描かれていると思います。

恋は多くの苦痛と不幸と屈辱とをもたらすのみならず、あせらず悠々と何かまとまったものを刻み上げるだけの落ち着きのえられぬことはよくよく承知の上であったが、

『トニオクレーゲル』/トーマス・マン