少々頭がずれてて何がいけない?

ティム・オブライエンさんの『ニュークリア・エイジ』という小説の中に出てくる痛快な台詞です。「少々頭がずれてて何がいけない?そのほうがいいじゃないか。それは財産みたいな物だよ。そういう風な考え方したことある?」全くそのとおりだと思います。

「例をあげよう。エドガー・アラン・ポー、彼は精神の不安定な人間だった。不気味な映像が彼の頭の中を駆けめぐった。異常な奴だよ。でもいいかい、彼はそのことでどっかのカウンセラーに泣きついたりはしなかったよ。彼は自分の異常性を利用したんだ。彼はそこから何かを作りあげたんだ。あの神経症的な詩や、神経症的な小説をね。彼は意志の力を持っていたんだ。僕と同じようにね。それに大体だね、少々頭がずれてて何がいけない?そのほうがいいじゃないか。それは財産みたいな物だよ。そういう風な考え方したことある?」

『ニュークリア・エイジ』/ティム・オブライエン(村上春樹訳)