トーマス・デマンド展

写真を基に、その情景を厚紙で作って、それを写真に撮るということをやっている人だそうです。

実に丁寧に精巧に作られていて、とても綺麗です。本物に見えるかと言うとそうではなく、明らかに作り物なのですが、デザイン的にかなり緻密に計算しているのでしょう、見ていて心地よくなるような感じがありました。

動画作品もあって、大時化にあった船内のレストランが波を受けて揺れに揺れている場面や、雨粒が地面に叩き付けられている様子など、どれもすごい完成度で感心してしまいました。

展示の下の階では本人が自分の作品について解説した映像も放映されていて、これがまた興味深い内容でした。多くの作品が主にネット上で有名になった写真に題材をとっているそうで、受け手としてはそれを知ってから見るとどうしてもその社会的な意義のようなものを読み取ろうとしてしまいそうですが、作者としてそういう意味性みたいな物も込みではありますが、かなり視覚的に美しいというところにこだわりをもっているようで、その考え方が面白かったです。 抑えが利いていて、決して仰々しい話し方はしませんが、自分の世界観に夢中で、言葉が溢れ出て止まらないという感じのしゃべり方が気に入りました。風貌もいいです。ちょっとファンになりそうです。