すすんで黴菌に感染し高い熱を出すようなこと

音楽を手軽に聴くことを評価する向きもあるが、要するに手軽な音楽を聴いているだけのことだ。ボタン一つで、無菌室から流れ出る音を、衛生的な聴覚で聞く……。それも結構だが、音楽を聴くという行為は、むしろすすんで黴菌に感染して高い熱を出すようなことだと、私は信じている。

『美しさの基準』原尞

原尞さんのエッセイからの一節です。この文の「音楽」を「いけばな」に置き換えると僕にとってはとてもしっくりきます。

2018年池坊中央研修学院祭

立花新風体 ラナンキュラス、沖縄著莪、パイナップルリーフ、ニューサイラン、黒百合、手毬草、山梨、ゼラニウム、ライムポ
立花新風体
ラナンキュラス、沖縄著莪、パイナップルリーフ、ニューサイラン、黒百合、手毬草、山梨、ゼラニウム、ライムポトス、ユーフォルビア

2018年池坊中央研修学院祭の出瓶作品です。当初はオレンジのラナンキュラスが咲き乱れる姿を立てていました。4日間の会期中に徐々にラナンキュラスが枯れていき、最終日には予備のラナンキュラスも全滅。そこで思い切って花びらを全て取り去ってみるとこれが意外にもいい姿でした。そんなわけで偶然にできた作品がこちらです。なかなか気に入っています。

謹賀新年

立花正風体 竹、水仙、ばら、ポインセチア、松、若松、木瓜、寒菊
立花正風体
竹、水仙、ばら、ポインセチア、松、若松、木瓜、寒菊

あけましておめでとうございます。皆様にとって今年1年が竹のように健やかな年となりますよう願って立てました。本年もどうぞよろしくお願いします。

クリスマスだけじゃないポインセチア

生花新風体 ポインセチア、オクロレウカ、パイナップルリーフ
生花新風体
ポインセチア、オクロレウカ、パイナップルリーフ

ポインセチアと言えばクリスマスという印象を持つ方が多いと思います。それはそれでいいのですが、そうではないポインセチアの魅力というのもあるでしょう。

いけばなはある面では暮らしの中の文化ですから、行事に合わせた花をいけることも多いです。一方でそういうものとは関係なく、純粋に草木の美しさをいけ表すこともよくあります。

この作品はクリスマスとは離れて、ポインセチアの美しい色と姿に心を惹かれて生けたものです。ポインセチアの新しい魅力が表現できているといいのですが。

難を転ずる

古典立花 南天、松、水仙、梅、椿、柘植、枇杷、苔木、若松、羊歯、小菊
古典立花
南天、松、水仙、梅、椿、柘植、枇杷、苔木、若松、羊歯、小菊

南天は「難を転ずる」に音が通じることから目出度いものとして扱われます。大らかに広がる葉と、真っ赤な実が美しいですね。

今年を振り返ると、いいことばかりであまり転じたい難が思い浮かびません。もちろん嫌なことや辛いこともあったのでしょうが、僕は忘れっぽいのでほとんど覚えていないのです。特に難なく平穏無事に過ごせたことに感謝です。来年も良い年でありますように。まだ今年がもう少し残っていますが。