松逍遥

松は日本人にとって聖なる木であり非常になじみの深い植物です。

いけばなにおいても松は華道三木の一つに数えられ、大切に扱われてきました。古典の作品の多くには松が使われています。近年は昔ほど松を使うことは減りましたが、それでも池坊いけばなを究めたいと志す者にとっては松は憧れの花材であり、なんとしてもものにしたいものの一つです。

いけばなの世界には「花は足でいけよ」という教えがあります。現代では花材の調達はほとんどが花屋さん任せで、自分で山に分け入って花材を採取するということはほとんどなくなりました。しかし、植物の自然の状態を知ることはやはり大切なことだと思います。

池坊の聖典である『専応口伝』の序文にこうあります。

この一流は野山水辺自ずからなる姿を居上にあらはし花葉を飾りよろしき面影をももとし一同世に広まりて今に都鄙のもてあそびとなれるなり

植物の自ずからなる姿、自然の姿を基調とするのが池坊のいけばななのです。

また分野は違いますが、かの俳聖芭蕉の教えとしてこのような言葉も伝わっています。

松のことは松に習へ

そんなわけで、松を見に、日本三大松原の一つに数えられる三保の松原へ行ってきました。

ぶらぶらと松林を歩きながら、写真を撮ったりスケッチをしたり昼寝をしたり、のんびりと松に浸ってきました。これが直接的に何かの役に立つのかはわかりませんが、これから沢山松を稽古する中で、いつか実を結ぶといいなと思います。

青の洞窟

池坊の全国大会で沖縄に行ってきました。2日前に沖縄に入り花展を拝見、前日は1日空けて遊ぶ日にしました。

沖縄出身の方からお勧めいただいた「青の洞窟」でシュノーケリングを初体験です。

僕はほとんど泳げません。しかし、ウェットスーツとライフジャケットの完全装備で、そんなことを全く忘れてしまうほど抵抗無く浮かびます。シュノーケルで呼吸も陸上とほぼ同じようにできて、水中にいる心もとなさはまるで感じませんでした。

体は水中の感覚で、本当に魚になったかのようです。全く足の届かない深い海の水面をすいすいと進んで行くのはとっても気持ちがよかったです。

曇っていましたが、海中はそれを感じさせない明るさで、それはそれは美しい世界を見せてくれました。本当に素敵な時間を過ごす事ができました。

車が運転できない僕は、バスで行ったのですが、2駅ほど乗り過ごし、そこから歩いていく途中にスコールに見舞われて全身ずぶ濡れになりながらたどり着きました。途中時間までにたどり着くことすらあきらめかけましたが、付いた頃には雨もすっかり上がり、波のほとんどない穏やかな海を堪能できました。そういう道のりの困難さも含めて、とても印象深い体験でした。

丸谷才一さん逝去

僕の大好きな作家である丸谷才一さんが亡くなつたさうです。この人の書いたものはとにかく愉快で、随筆にしろ小説にしろ随分楽しませてもらひました。感心したり大笑ひしたり教えられたり、僕にとつては丸谷作品を読むことはとびきりの快楽でした。もう彼の書く新しい文章は読めないのかと思ふと寂しい限りです。けれども、まだ読んでゐないものも沢山あります。ご本人は亡くなられても、作品は残るのです。これからもその素敵な世界をたつぷりと満喫せてもらひます。さういふのつて何だかいいですよね。合掌。

吉野山

京都へ行ったついでに(ついでというにはあまりにも遠かったのですが)、折角桜の時期だからと思いずっと行ってみたかった吉野山へ足を伸ばしました。想像していたのとは違いましたが、場所場所で桜が固まって咲いているのは見事でした。その中に入るよりも、上から見下ろす景色が良かったです。

道すがらにあった石碑に刻まれていた後醍醐天皇の御製を書き付けておきます。

ここにても雲居に桜咲きにけりたたかりそめの宿と思ふに

ニューデリー

師匠のお供でインドのニューデリーに行ってきました。いけばなのデモンストレーションとワークショップを行いました。いい経験をさせてもらえました。こういうタフな現場をくぐることで僕は鍛えられるのでしょう。