僕の大好きな丸谷才一さんの随筆集を読んでいると次のような話がでてきました。
俵万智さんの有名な歌
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
この7月6日とはなにかと言うと、七夕の前日なのです。七夕と言えば離れ離れになった男女の年に一度の逢瀬の日です。我々はその前日も既にどことなくしっとりとした雰囲気を感じているというのです。
それはあの芭蕉の句にも表れていて、
文月や六日も常の夜には似す
この句を知ってか知らずか、とにかく日本人に綿々と流れる感覚を受け継いで万智さんの歌があるのだというような話です。
実はこの話自体は丸谷さんの他の随筆で読んで知っていたのですが、また改めて読んでやはり面白いなあと感じ入っていました。さて、ここでふと浮かんだのがもしかして今日は7月6日ではなかったか知らんということです。携帯電話を見てみるとまさにそうではありませんか(僕の家にはカレンダーなんて気の利いたものはないのです)。
割と最近に「奥の細道」を読んだばかりなのに中身をすっかり忘れている僕は、こんな句あったっけなあと思いながら押入れからそれを引っ張り出して、何気なくぱっと開いた正にそのページになんとこの句が載っていたのです。ちょっとした偶然が重なって思わず嬉しくなってしまいました。