目出度い花

生花正風体 万年青
生花正風体
万年青

万年青と書いて「おもと」と読みます。その字が表す通り、古い葉が枯れる前に新しい葉が出てきて、常に青々した状態を保ちます。そのように葉が絶えずに続いていくことから「相続き易き物」として、大変に目出度い花とされています。昔は婚礼の席によくいけられたと言います。

いけばなでは実のものは通常はお祝いの席にはいけません。実というのは美しく、また実り、成熟の結果ですから一見いい意味を含んでいそうです。しかし、実ったということはそこで完成、終わりであるとも言えるわけです。後は熟して種を落とし、次の世代に繋いでいくわけです。人の一生に例えると晩年と言えそうです。そういう考えから、いけばなでは実よりも、未来を含む蕾を尊しとする価値観があります。そんな中で、万年青は先に述べた理由から特別に祝いの席にいいとされています。

生花(しょうか)という伝統的な生け方の中でも特殊な「伝花」の一つです。『七種伝』という伝の中に入っています。通常の生花は真、副、体という3つの役枝と呼ばれるものを中心に構成しますが、万年青は立葉、露受葉、ながし葉、前葉、という4つの葉を中心に構成します。このような生け方をするのは万年青だけです。非常に特殊な生花と言えます。古い葉の株の間に実がなり、その脇から新しい葉株が出てきた様子を表現しています。

自然の姿を観察し、そこに人間の感情を託して、このような万年青の生け方が整えられ伝えられています。実にいけばならしい物の見方だと思います。特別な祝意を含んだ花を、楽しみながらいけてみました。